心筋梗塞で倒れ、食事制限をかけられた病院生活から解放されて、自由に食べていい環境になった。
しかし孫悟空の頭についている輪っかの様に、暴食は出来ない疾患を抱えている。
暴食すれば、即締め付けられるというものを抱えている。
しかし不思議だ。
お腹が空いて、食べずにはおれないと言うことは無くなっている。
今までは食べたくなくても間食をしたり、摘んだりしていたことがウソのようだ。
大の大人である男が茶碗半分のご飯に漬物数枚で事足りる。
それも1日2食だけだ。
身体は痩せていくが、研ぎ澄まされた感覚が蘇る。
全てが明瞭になっていく。
身体の内部の流れや動きも感知出来る。
ヨガの達人は内臓すら意識で動かすという。
それは分かる気がする。
手を動かす事が出来るのなら、胃を動かしたり、心臓を動かしたり出来るのは当たり前の気もするのだ。
そういう今まで考えたことすらなかった事が、敏感に分かるようになる。
身体の内部で何が滞っているのか、思い込みで意識が何に縛られているのかを敏感に分かるのだ。
茶碗半分のご飯が2食。
おかずは漬物だけ。
今まで考えられる筈もない食事だが、現に何日もそれが行われていて、辛くも無ければ苦しくもない。
そういう考えられない世界がある事を体感しながら滲みいるように感じている自分がいる。
血を巡らすことや、呼吸にも興味が湧いてきた。
簡単な運動で心臓のリハビリをしながら、呼吸を整えていく楽しさを味わっている。
面白くて仕方がない。