お湯を注ぐ音と水を注ぐ音は違う。
木から枯葉が散る瞬間、離れる瞬間。
川の流れの音は毎日違う。
梅雨と秋雨では降る音が違う。
いや、雨は毎回違う。
道の隅に生えている草花も毎日違う。
会っている人や家族ですら、昨日と違う。
同じだけど同じではない。
木から枯葉が離れる瞬間を見たことがありますか?
その瞬間何が起きるのか?
大きな葉っぱから朝露が一滴落ちる瞬間、何が起きるのだろう。
境目とは何だろう。
偶然バッタリ街で誰かと会ったり、
コップを肘で落としてこぼしたり、
その瞬間、何が起きているのだろう。
文字を見た瞬間、何が起きるのだろう。
電車が通った瞬間、何が起きているのだろう。
そう、その瞬間、その時に。
それは気付きであって、気付きでも無いとも言える。
その瞬間、何を感じるのだろう。
車のブレーキを踏む時、空走距離と制動距離と分けられている。どちらも止まり切っていない状態だ。
みんなそこを生きている。
その瞬間を見ていない。
その瞬間とは何だろう?
僕は昨年心肺停止を30秒程
体験した。
その瞬間、何が起きたのかを知っている。
意識を失ったらしい。
意識があるということ。
意識が無いということ。
死んでいるということ。
生きているということ。
その境目は何だろう。
その瞬間を眺めると、境目とは何だろうという気付きが起きる。