療養

僕は昨年心筋梗塞で手術をし即入院、年越しを病院で過ごし、やっと1月11日に退院をした。しかし、暫くは療養した方がいいと仕事復帰を止められ、今月は自宅で簡単な心臓のリハビリをしながら、1人自宅に篭っている。

やる事もなく暇を持て余しているが、妙な感じがするのでここに記録として残しておきたい。

何か異次元に取り残された感じがあって妙に静かだ。

それは心の中も外側もそうなのだが、浦島太郎状態と言った方が伝わるのか、上手く説明出来ない。

普通は暇な時間を過ごすと
時間の経つのが遅く感じるものだ。

やる事がなく、寝ながら天井を眺めているしかないなら、余計そう感じる筈だ。

だが、気が付くと夕方になっている事が多い。

世間は車が走り、大勢の仕事をしている人でせわしなくなく動いている筈だ。
しかし僕は何もする事なく部屋にいて静かな時間が流れている。

当たり前だと思うか知れないが、僕の中では時間は止まっている。

なのに気が付くと夕方になっている。

何だろう?

異次元にポツンと取り残された空間に1人停止しているようだ。

そして我に帰り、意識が戻ると夕方になっているのだ。

僕の意識は毎日どこに行っているのだろうか?

いや止まっているのだ。

時間とはなんだろうか?

意識とは何だろうか?

意識しないと、そこには存在すらしないのか?

不思議な感覚だ。

僕は心肺停止を30秒体験した。

あと少しで死んでいましたよと医師にも伝えられた。

しかし僕は意識があった。

電気ショックで戻ったらしいが、僕は白く光輝く世界で電気ショックを受けている映像を覚えている。

痛みは全くないし、触られている感触すらない。

ただ真っ白く光る世界で
それを受けている映像だけが残っている。

あの時を意識が無いというなら、意識が無くても記憶はあるのだろうか?

更に意識が無いということも
思い出される。

これは難しい。

意識が無いのに思い出すとはどういうことか?

でも意識が無いことも覚えているし、その時の意識の感触も分かる。

たまにそのシーンがフラッシュバックの様に思い出される。

不思議だ。

異次元空間にいる感覚が、
まだ抜けきれていない。

歳でポンコツだからなのか、
何かが落ちて、研ぎ澄まされているのかわからないが、こんな体験は初めてだ。